お金・相続

相続で争わないための「生前贈与と家族信託」

家族に迷惑をかけないため、自分が元気なうちに
対策をしたいという方が増えています。

GO&DO 篠原税理士法人 代表取締役・代表税理士 篠原 敦子さん

●相続について考えるタイミングを教えてください

 近年、子どもたちや家族に迷惑をかけないよう、自分が元気なうちに対策をしたいと考える人が増えてきています。そこで注目されているのが「生前贈与」です。「私は残す財産が少ないから家族はもめない」とお思いの方が多いと思いますが、実際は相続税がかからないケースでもめてしまうケースが少なくありません。
 まずは、自分にはどのような財産がどのくらいあるのか、不動産、保険や預金などを整理して、相続税がどれぐらいかかるのか把握し、誰にどうしておきたいのか、決めておくことをおすすめします。

●生前贈与のメリット、デメリットは?

 生きているうちに、財産を譲ることを「生前贈与」といいます。生前贈与には、家族が争わないように相続できる以外に、節税のメリットがあります。
 1年間で贈与の金額が110万円以下なら贈与税が課せられない「基礎控除」の範囲内で、子どもや孫のために資金援助するのも節税の一つです。30歳未満の子どもや孫に対する教育資金(入学金・授業料・給食費など)の贈与は、1,500万円までなら非課税とされる「教育資金贈与の特例」、親や祖父母から、子どもや孫の結婚・子育て資金について贈与する場合1,000万円(結婚資金は300万円)までが非課税となる「結婚子育て資金贈与の特例」などもありますので有効に活用してもらいたいですね。
 ただ無計画に贈与してしまうと、ご自身の老後の蓄えが無くなってしまったり、不動産に大きな贈与税がかかったり、負担が増えるケースもあります。居住用不動産(家や土地)を結婚して20年以上一緒に暮らす配偶者に贈与する場合、2,000万円までが非課税となるなど、税金の特例を知っているのと知らないのでは大きな差が生まれます。
 また、生前贈与をしてから3年以内に、その贈与した方が亡くなってしまった場合には、その贈与財産は相続財産に加算して相続税を計算することになります。まずは税金のプロにご相談いただき、具体例を参考に計画を立てていただくことが一番かと思います。



「あなたの財産を守る家族信託」
魅力的な制度である家族信託について
わかりやすく解説するリーフレット

●最近注目を集めている「家族信託」について教えてください。

 施行されてまだ10年程度ですので、まだまだ認知されていないのですが、とても魅力的な制度です。
 財産を託す方法として「遺言」という手段もありますが、それは自分が無くなった後に有効なもの。生きている間に認知症になった場合、家族が何もできず困ってしまうこともたくさんあります。認知症や精神障害などにより、判断能力が低下してしまった人を法的に支援する「成年後見制度」がありますが、不動産の売却や建て替えなどはできません。その点「家族信託」は、財産の所有権のうち、管理する権利のみ信頼できる家族に託し、管理処分も任せられる、といったメリットがあります。また孫の代まで計画的に遺産を引き継ぐことも可能です。
 家族信託について相談を受ける中で、「財産が無くなるのでは?」「子どもに奪い取られるのでは?」など不安を口にされる方もいらっしゃいますが、「不動産などで得られる収益はあなたのもの、住む権利もあなたに残ります」とお話しすると安心されます。
 「家族信託」をされるにしても、まずは財産を洗い出し、何をどうするかが先決。その後、契約書を作成し、公正証書にしておくと家族がもめることはまずありません。契約書や公正証書の作成は難しいので、プロにサポートしてもらうことをおすすめします。