お金・相続

会社の永続的発展のための「事業承継」とは

中小企業の事業承継は喫緊の課題。
先送りせず、計画的に準備を進めましょう。

GO&DO 篠原税理士法人 代表取締役・代表税理士 篠原 敦子さん

●事業承継に関する相談が増えているそうですね

 日本にある中小企業は430万社以上。2008年のリーマンショック以降、事業の経営不振に不安を感じた団塊世代の経営者の方が、事業承継を先送りしながら今まで現役で頑張ってこられたと言う会社さまが少なくありません。中でも戦後すぐに起業された経営者の方は70歳を超えています。そして、いざ引き継ぎを考えると「後継者がいない」となり、私どもに相談に来られるケースがとても増えています。

●何が障壁になっているのでしょうか。

 まずは、引き継ぐときにかかる費用面です。課題として一番に上がるのが、相続税等の計算をする上での株式評価額の上昇です。例えば、資本金1000万円で起業した会社も、長年の内に資産が増加し価値が10倍以上になっている場合も多く見受けられ、それをそのまま相続するとなると大変なことになります。
 また、後継者の選定と教育に時間がかかることも事業承継の大きな障壁になっています。M&Aで代替わりをするケースもありますが、従業員と上手くいくのか不安を感じる方が多いのも事実。できれば事業をわかっている人に託すことが理想ですが、親族でない場合、株を無料で受け渡すのは難しく、買い取る費用もないとなれば難航します。どうやって後継者に託すのか、経営者はさまざまな面から悩まれています。
 ご親族が後を継ぐ場合も、事業に対する意見の相違から、うまくいかなくなるケースも多いようです。その場合、第三者が間に入ることで冷静に話し合え、スムーズに進むことが多いので、プロを交えるのも一つの方法です。


様々な制度を活用しながら、それぞれの会社の事情に最適な事業承継をアドバイス


小町オフィス風景

●事業承継の手順、ポイントを教えてください。

 経営者には、事業の永続か、閉じるのか、をまず決めていただきます。閉じるとなれば、財産をなるべく残せるようにどのタイミングで行うか決めていきます。永続する場合は、後継者は誰か、何をどう引き継がせていきたいのか考える必要があります。その後、株を評価し、実際に相続をどうするのか検討します。
 経営者が亡くなり株を引き継ぐ場合にどれくらい税金を払うのか調べ、相続税より贈与税の方が、税率が低い場合は、株を動かした方がいいとお話ししています。例えば株価が今後上がると見込んだ場合、贈与と買い取りを組み合わせると、コストを抑えることができます。また、組織再編、分社、合併などして意図的に株価を下げてバトンタッチしやすいように自社株化対策をおすすめすることもあります。
 また家族信託を使って株価対策ををするのもいい方法です。信託を利用して株を後継者に譲り、親が受託者になれば、「経営権は渡さないけど、配当は後継者が受け取れる」ことにもでき、スムーズな事業承継につながります。

 政府も2018年税制改正で、中小企業の廃業を食い止めるべく「事業承継税制」の優遇措置の拡大する方針を示しています。「事業承継税制」とは、中小企業の後継者が事業承継を行う場合、一定の条件を満たせば、発行株式数の3分の2について、相続税はその80%、贈与税は全額の支払いを猶予するというものですが、一定の要件を満たせば、株式数や相続税の猶予が全部・全額となる特例制度もできました。
 制度は年々変化していますので、ぜひ、一度ご相談にお越しいただけたらと思います。さまざまな制度を活用しながら、お一人おひとりに合ったよりよい方法で、事業承継をバックアップしていきます。